artscapeレビュー

オノ・ヨーコ「A HOLE」

2010年01月15日号

会期:2009/12/05~2009/12/25

ギャラリー360°[東京都]

穴が空き、ひびの入ったガラス板が10数枚。銃弾を撃ち込んだものだ。ギャラリーの中央に、やはり穴とひび割れの入ったひときわ大きなガラス板が自立している。これを見てハタと思い出すのがマルセル・デュシャンの「大ガラス」だ。そういえば「大ガラス」は運搬中に偶然ひびが入ってしまったのだが、デュシャンはがっかりするどころか「これで完成した」と喜んだとか。これらのガラスの下方には「A HOLE GO TO THE OTHER SIDE OF THE GLASS AND SEE THROUGH THE HOLE(穴 ガラスの反対側に行き、穴を通して見ること)」と記されている。これを読んでハタと思い出すのが『鏡の国のアリス』(原題は"Through the Looking-Glass")だ。そういえばヨーコの友人だった東野芳明は著書『マルセル・デュシャン』の各章冒頭に、『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』からの引用文を掲げていたっけ。そういえばジョン・レノンもルイス・キャロル並のノンセンスな言葉遊びが好きだった。そしてハタと思いいたるのが、ジョン・レノンは銃弾に倒れたということ。この作品は迷宮のような連想ゲームにわれわれを誘う。

2009/12/24(木)(村田真)

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