artscapeレビュー
HEARTBEAT-SASAKI展
2010年01月15日号
会期:2009/11/10~2009/12/18
第一生命南ギャラリー[東京都]
心臓の鼓動を描いたドローイングを見せる展覧会。30点あまりの平面作品をそれぞれテーブルの上に並べて空間インスタレーションとして発表した。赤いインクが描くジグザグ模様は心臓の鼓動のリズムを忠実に反映しており、だからそれらが密集した赤い画面は作者の生の何よりの例証である。けれどもふつう、わたしたちがそうした生の根拠を意識することはほとんどないので、赤い線によって心臓の収縮活動をこれほどまでに実直に示されると、ある種の居心地の悪さを感じざるを得ない。しかしメメント・モリとは、まさにこうした不安の感覚と表裏一体だったことを思えば、これらの作品はまちがいなく現代版のメメント・モリである。
2009/11/30(月)(福住廉)