artscapeレビュー

菅原健彦 展

2010年01月15日号

会期:2009/11/15~2009/12/27

練馬区立美術館[東京都]

日本画家、菅原健彦の回顧展。卒業制作の作品から近作まで40点あまりの作品が発表された。モチーフは都市の市街地や廃墟、自然の桜や渓谷などさまざまだが、それらが荒々しいストロークによって描き出されて、きわめて密度の濃い画面を構築している点は共通している。日本画的なモチーフと技法にもとづきながらも、キーファーのような表現主義的な色合いを兼ね備えた画面といってもいい。その躍動感や疾走感が都市や自然の生態を効果的に表わしていた点は評価したいが、本展のために制作された《雲龍図》と《雷龍図》はどういうわけかトーンダウンしていた。密度の薄い画面は、たんに図像を再現しているようにしか見えず、しかもそのイメージ性もきわめて貧弱である。これまでの作品の迫力が圧倒的だっただけに、弱さが際立ってしまっていたようだ。

2009/12/25(金)(福住廉)

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