2021年12月01日号
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artscapeレビュー

サスキア・サッセン『グローバル・シティニューヨーク・ロンドン・東京から世界を読む』

2010年01月15日号

発行所:筑摩書房

発行日:2008年11月25日

本書は、ニューヨーク、ロンドン、東京という3都市の分析を通じて、「グローバル・シティ」という新しい概念を提示し、グローバル化する現代社会を読みとく本。日本語版は1991年の第一版に対する批判を踏まえて改訂した2001年出版の第二版の翻訳。400ページを超える大著だが、著者のサスキア・サッセンはつねに構造的な文章を書くため、論旨と構成がはっきりしている。もっとも重要な主張は、グローバル・シティにおける社会と空間の二極化であろう。本社機能だけを集めたグローバル・シティでは、高度な専門サービスに従事する高所得者層と、その生活を支える労働力として移民や低賃金労働者が同時に集まり、格差がますます拡大すると同時に両者の空間は近接する。その仕組みと背景、そのことが示す意味を、地理(第一部)、経済(第二部)、社会(第三部)、政治(最終章)という側面から分析、検証される。グローバル化が均質化ではなく、都市という単位を再度浮上させることが指摘されている。いわば国民国家から、都市(グローバル・シティ)へと世界的な秩序を生み出す主体が変化していることが示唆されているともいえる。

2009/12/10(木)(松田達)

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