artscapeレビュー

横町慶子『かわうそ』(HARAJUKU PERFORMANCE+)

2010年01月15日号

会期:2009/12/19~2009/12/20

ラフォーレミュージアム原宿[東京都]

ロマンチカの林巻子のソロ舞台。声だけの相手役として田口トモロヲ。音楽を菊地成孔が担当した。林のダンスや芝居はまるで「美貌」が踊りしゃべっているよう。独特のわざとらしさが芸術志向のダンスや演劇にはない中毒性を帯びていて、クセになる。男が車でひいてしまった(はずの)女が気づけば車内にいて、気づけば男を虜にしている。女とは男にとっての魅惑的な虚像(うそ)なのだといったメッセージを、演劇的な形式を借りつつ適度に自由に逸脱して語る(背景が映写される部屋や景色の映像によって次々と変わるところやいくつかのフレーズをレディ・メイド化して執拗に反復するところなど)。物語や「美貌」のあり方に既視感はあるとしても、そうした語り方に、新たなパフォーマンスのかたちをおぼろげながらも見た気がした。

2009/12/20(日)(木村覚)

2010年01月15日号の
artscapeレビュー