artscapeレビュー

Arch Daily

2010年01月15日号

建築の情報メディア環境が変わりつつある。そのひとつとして、ブログ形式のウェブマガジンが存在感を強めている。2005年1月にオランダのハンス・イベリングスを編集長として『A10』が生まれたとき、東欧を含むヨーロッパ全体を包括的に捉えた、安価で革新的な建築雑誌だと思って注目した。それからちょうど5年経ち、状況はさらに変化した。チリの建築家David Basultoがエグゼクティブ・エディターを務めるArchDailyは、2008年3月に開始したばかりのブログ形式の建築情報サイトである。すでに2400件を超えるポストがあり、一日数度新しい情報が更新されている。一つのポストには、相当数の写真・図版が載っている。twitterやfacebook、flickrなどとも連動する仕組みがあり、さらに活発なコメントが寄せられることによってサイトが活性化している。この情報量とスピード感に、一時は建築がアイコン化されている元凶があるのかと思ったのであるが、もう少しじっくり眺めてみると、表面的なアイコン性はむしろサイトのデザインと構造から来るものであり、その背後にはかなり多様な情報が込められていることも見えてきた。同様の趣旨を持ったサイトは他にも幾つかあり、建築の伝達方法はこれらのサイトによって少しずつ変化してきているように感じている。

URL:http://www.archdaily.com/

2009/12/31(木)(松田達)

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