artscapeレビュー
愛の秘密工作室
2011年03月15日号
会期:2011/01/29~2011/02/13
HEP HALL[大阪府]
バレンタインデーも近づき、梅田もいっそう騒々しく感じられる頃に開催された「愛」をテーマにした展覧会。美術家やプロダクトデザイナー、コピーライター、雑貨デザイナーなど、業種もさまざまなアーティスト7組が参加。会場に入るとまっさきに現代美術二等兵の作品に出迎えられる。グー、チョキ、パーの絵柄を描いた《勝負パンツ》、チョコレート菓子の「小枝」でせっせと巣作りをするチョコレートのビーバー(?)《愛の巣》などに思わず「しょーもなー!」と(好意的に)笑ってしまったが、このユルい雰囲気に気持ちはがっちりつかまれた。「LOVE&PEACE」「WAR IS OVER」「LOVE IS OVER」とそれぞれに記された3枚のプラカードは木内貴志の《「PR無指定」(ジョンとヨーコと菲菲と・持つとこ付き)》という作品。「R」と「P」の文字だけがモザイク状でぼかされている。テレビドラマやマンガ、ニュース、伝説、歴史の物語などのよく知られている題材をモチーフに、マッチ棒の先に顔を描き、それぞれの恋愛模様をパロディ化した「こけしマッチ制作所」の作品群もすごい。細かな仕事もさることながらユーモアのセンスが抜群に良い。謎掛けが凝りすぎているのか、よく理解できない作品もあったが、会場に散らばるアイロニカルな下ネタやシャレ、駄洒落の数々はじつに痛快でそれぞれの機智の才気にも唸るような内容だった。
2011/02/05(土)(酒井千穂)