artscapeレビュー

京都オープンスタジオ桂

2011年03月15日号

会期:2011/02/11~2011/02/13

うんとこスタジオ、桂スタジオ[京都府]

芸大を出て、桂にある二つの共同スタジオが開催するオープンスタジオへ足を運んだ。駅からも近いうんとこスタジオでは、鈴木宏樹、谷澤紗和子と、カレーのケータリングチーム「森林食堂」が三日間だけの「うんりん食堂」を開店。作品展示もされていたのだが、どちらかというと狭い空間にテーブルやカウンターが設置されたスタジオはすっかり飲食店の雰囲気。和気あいあいとした楽し気な雰囲気に包まれ、賑わってもいたが、この夜はちょうど音楽のライブも開催されるとのことで、仲間内が集う場でもあったのかもしれない。うっかり足を踏み入れてしまったアウェーのような居心地の悪さも覚え気後れしてしまったのも事実だ。一方、対照的に日頃の制作現場に来場者を迎えいれる作家たちの緊張感が漂っていた桂スタジオ。「ほぼ日作品大賞」でひびのこずえ賞を受賞した東明は、ペンギンのパラシュートをミシンで制作しながら、実演、丁寧に説明してくれた。また、昨年の東京都現代美術館の「MOTアニュアル2010:装飾」や、大阪での個展で発表されたものとはまた異なるイメージの作品を制作中の水田寛からも、作品を前にしてその制作スタンスや意図についてじっくり聞くことができた。時間もそんなになかったので、今回実際に話せたのは二人だけだったのだが、ギャラリーなどの発表の場では知り得ないアーティストの一面を垣間みることがでたり、その魅力に触れることができる点でもオープンスタジオの価値は大きいと改めて感じた。方法論は各々だが、今回は「オープン」のあり方についても考えさせられた。

2011/02/12(土)(酒井千穂)

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