artscapeレビュー

吉岡雅哉「庭いじり」

2011年03月15日号

会期:2011/02/04~2011/03/12

ギャラリー・ショウ・コンテンポラリー・アート[東京都]

この人の作品は以前「トーキョーワンダーウォール公募展」で見て強烈な印象があった。コンビニの前で性交する男女を、妙にクセのあるタッチで描いていたのだ。こんな不穏な絵が青少年の健全な育成をめざす東京都生活文化局文化振興部が推進する公募展で入選するなんて、東京都も意外と健全なんだなと見直したものだ。今回はコンビニだけでなく、和風のお屋敷の内外で■■たり●●●したりする風景が波打つような筆づかいで描かれ、まるでムンクみたい。案内状によれば、5~6歳のころから春画を模写していたという吉岡は、いまでも「初期衝動のまま描き続けている」という。その特異なモチーフをさらに際立たせているのが、一見フォーヴィズム風の野蛮な(でもじつは達筆な)ウネウネした描線だ。この先どうなるのか見てみたい絵描きである。

2011/02/18(金)(村田真)

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