artscapeレビュー
「著者が語る、建築本の楽しみ方─お部屋編─」(第4回)家具から見える日本の住文化
2011年04月15日号
会期:2011/03/11
ハウスクエア横浜[神奈川県]
子ども部屋、トイレ、浴室など、部屋ごとに講師を招いたシリーズの第四回は、「家具から見える日本の住文化」と題して、小泉和子さんをお招きした。いかにインテリアや家具の視点から歴史研究を行なう人材がいないか、またその後継者を育てるのが大変なのかを最初に指摘していたが、なるほど、建築の隣接分野でありながら、現代においてもインテリアデザインの研究者やその歴史分析がほとんどない。その後、日本の住文化において、家具が建築化し、家具がないことを語っていたところで、大地震が発生し、レクチャーは即座に中断となった。地震の後、ハウスクエア横浜の建物の前でしばらく避難していたが、通常は見知らぬ他人として帰宅したはずの受講生同士、あるいは講師とのあいだで、不思議な一体感が生まれる。受講者は高齢の方が多く、関東大震災後の生まれなので、東京に住んで、生まれて初めてこの規模の地震を経験したと語っていた。
2011/03/11(金)(五十嵐太郎)