2021年04月15日号
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artscapeレビュー

生誕100年 岡本太郎展

2011年04月15日号

会期:2011/03/08~2011/05/08

東京国立近代美術館[東京都]

初期から晩年までの絵画(ただしパリ時代の絵画は戦後の再制作)をはじめ、縄文土器の写真、《太陽の塔》のスケッチ、パブリックアートのマケット、椅子やネクタイなどのデザイン、おびただしい量の書籍など、多彩な活動を多角的に紹介している。すでに川崎市に岡本太郎美術館があるので、いまさら総花的な紹介でもないし、かといって絵画や万博に絞った企画ももうやられているし……てなわけで今回は「対決」がキーワード。すなわち「ピカソとの対決」「きれいな芸術との対決」「人類の進歩と調和との対決」といったように、既存の権威や常識に戦いを挑み続けた芸術家像を浮かび上がらせようとしている。たしかに絵画を見ても50年代までの作品はとても新鮮で、戦後の日本絵画のなかでは異彩を放っていることが納得できる。つまり対決姿勢が鮮明だ。しかし、それ以降は自己模倣のマンネリズムに陥ってしまうのも事実。不思議なのは、なぜ岡本太郎ともあろうものがマンネリズムを打ち破れずに、自己模倣を繰り返し続けたのかということだ。最後の展示室ではそうした晩年の似たり寄ったりの絵画を30点以上も集めて壁にびっしり飾っている。どれもこれも目玉が描かれているのでインパクトがあり、これはこれでおもしろいインスタレーションではあるが、それは裏返せばワンパターンだからこその効果ともいえる。これを「岡本太郎との対決」と章立てているところを見ると、つねに前衛であり反権威であることの、いいかえればつねに岡本太郎であり続けることの不可能性を示そうとした学芸員の良識ある悪意のインスタレーションというべきかもしれない。

2011/03/07(月)(村田真)

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