2021年04月15日号
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artscapeレビュー

仏教伝来の道──平山郁夫と文化財保護

2011年04月15日号

会期:2011/01/18~2011/03/06

東京国立博物館[東京都]

第1部では、インド・パキスタンのマトゥラーやガンダーラから、アフガニスタンのバーミヤン、中国西域、敦煌、西安、そしてカンボジアのアンコールワットまで、平山が取材旅行で歩いた地の仏像や装飾品、壁画の断片などを自作とともに展示。これらの品々はおそらく彼自身が現地で買い集めたのだろう、大半が平山郁夫シルクロード美術館の所蔵になっている。文化財保護を謳いながら日本に持って帰って自分の美術館にコレクションするというのもどうなんだろう。それはおいといて、注目したいのはバーミヤン大石仏が破壊される前と破壊後の姿を描いた2点の対作品。まるで使用前・使用後の比較広告みたいだが、じつは破壊前の姿も2001年3月のタリバーンによる破壊後、春の院展に間に合わせるため急いで描いたものだというから、ジャーナリスティック精神の旺盛な日本画家だったことがうかがえる。第2部では、インドから中国に仏典をもたらした三蔵法師の道行きを描いた全37メートルにおよぶ《大唐西域壁画》を公開。これは平山が奈良・薬師寺のために20年以上を費やしたライフワークともいうべき大作で、お得意の荒涼とした土色のシルクロード風景や、青い空と白い雪の対比も鮮やかなヒラヤマならぬヒマラヤの山岳風景が並ぶ大胆な構成だ。いつも感じていたことだが、今回これを見て確信したのは、平山の絵は大きかろうが小さかろうが絵葉書にしか見えないということ。要するに陳腐なのだ。だから人気があるんだろうけど。

2011/03/02(木)(村田真)

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