2019年06月15日号
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artscapeレビュー

風穴 もうひとつのコンセプチュアリズム、アジアから

2011年04月15日号

会期:2011/03/08~2011/06/05

国立国際美術館[大阪府]

かーちゃんが子どもを連れて京都にトンヅラこいて1週間、とーちゃんが愛想を尽かされたこともあるが、なにより地震と放射能を避けての疎開だ。迎えにいくついでに、まずは大阪に寄って国立国際へ。サブタイトルのようにアジアのコンセプチュアル系の作品を集めたもの。だいたいコンセプチュアルというとモダニズムの芯だけ残ったダシガラというか、ストイックで退屈なイメージが強いが、幸か不幸かモダニズムが十分に浸透しなかったアジアではお笑いに走るゆるいコンセプチュアルアートが散見される。なかでもいちばん笑えたのが島袋道浩の《箱》。展示室の片隅に段ボール箱が置いてあり、なかから話し声が聞こえてくる。耳を澄ますと、「おれ、箱やねんけど、けっこうおもろいで」みたいな関西弁のつぶやきが。どこがコンセプチュアルやねん、とも思うけど、これこそコンセプチュアルかもと思い直す。なにしろ箱と声だけだから、ジャッドもコスースも真っ青。ちなみに島袋は生きたカメも出品していたが、こちらはひょっとして生きた馬を展示したことのあるヤニス・クネリスのパロディか。西洋の馬に対し、アジアを代表する動物がカメだとすればいかにもどんくさそうな気がするが、ウサギとカメじゃないけど最後はカメが勝つという教訓かも。もうひとつ笑えたのは、タイの農民たちにマネやゴッホらの絵(複製)を見せ、その反応を収録したアラヤー・ラートチャムルーンスックによる映像。アジアの農村風景のなかに置かれた西洋絵画という組み合わせ、正面を向く絵画と背中を向ける(絵を見てる)村民たちの対比、漫才のような彼らのパタフィジックなやりとりなど、笑えるだけでなく文化人類学的にも興味深い。その後、隣接する大阪市立近代美術館の建設予定地で、「おおさかカンヴァスプロジェクト」の一環として計画されていた西野達の作品を見に行ったら中止だと。自動車やら家電やらカップラーメンやらを大型クレーンで吊るす計画だったが、震災後なので危険がアブナイと判断したらしい。残念。

2011/03/27(日)(村田真)

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