artscapeレビュー
東日本大震災
2011年04月15日号
[東北]
交通事情がある程度、回復したタイミングで、数日をかけて、各地の被災地をまわった。青葉区をはじめとして、仙台近郊の名取、亘理、仙台港、多賀城、そして岩手から南下し、大船渡、陸前高田、松島、石巻、女川などである。東京でテレビを見ていると、大量の情報があふれているにもかかわらず、「被災地」と「被災者」は画一的に切り取られがちだが、現場を訪れると、想像以上に異なる状況が展開していた。20m越えの津波によって、ビルがゴロゴロ転がっていたり、三階建てのビルの屋上にアクロバティックにクルマがのった風景など、文字通りに想像を絶する町の破壊を目の当たりにして、311以降は、暴力的な表現の現代アートや生ぬるい作品を深い考えもなく発表することが、しばらく難しくなったと思う。
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2011/03/29(火)(五十嵐太郎)