artscapeレビュー
カイユボット展──都市の印象派
2013年11月15日号
会期:2013/10/10~2013/12/29
ブリヂストン美術館[東京都]
カイユボットは印象派のなかでは知名度こそ低いものの、光の鈍い反射を描くのが巧みな画家だ。たとえば雨にぬれた石畳とか、室内の木の床の描写とか。今回も《ピアノを弾く若い男》のピアノに反射した光とか、《ペリソワール》のオールを映す水面とか、《ヨーロッパ橋》の鉄橋の質感などにその特徴がよく現われている。カイユボットは裕福な上流階級の出身だが、その食事風景を描いた《昼食》を見て既視感を覚えた。調べてみたら、「印象派を超えて──点描の画家たち」展に出ていたシニャックの《ダイニングルーム 作品152》とよく似ている。窓からの逆光、画面やや左に据えられたテーブルと、その上の食器、テーブルにつくふたりの家族と、そのあいだに立つ給仕……。窓の数や画法の違いはあるものの、構図も空気感もほとんど同じだ。カイユボットのほうが10年早いので、シニャックが参考にしたのかも。
2013/10/14(月)(村田真)
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