artscapeレビュー
あいちトリエンナーレ2013 パブリック・プログラム イン・ディスカッション 藤村龍至/あいちプロジェクト 第5回最終発表
2013年11月15日号
藤村龍至のあいちプロジェクトのパブリック・ミーティングの最終発表を聞く。さまざまな要素をどんどん蓄積するデザインは、東工大における相対主義的な建築の流れと同時に、こうあるべきだったポストモダンを想起させる。二者択一の投票形式は、一般人へのハードルを下げ、意見やコメントを集めるツールとしてうまく機能したと言える。ただ、途中の段階で、コメントを収集するシステムとしては見事だが、最後にどこかで流れを切断する「終わり」が訪れる。そのときの投票の意味をどう位置づけるかは課題かもしれない。この日も最終的に提示された二案は、それぞれに長所と短所があり、両者の融合がベストなのだが、投票する際は、どちらかを選ぶしかない。ちなみに、藤村の会場とした中央広小路ビルは、最もアートにふさわしくない場所だ。が、彼はいわゆる空間インスタレーションをしないだろうから、ここで依頼することになった。その結果、公開された設計作業の途中、来場者が意見を交わし、投票する新しい設計事務所の場がビルの一角に出現したのである。
2013/10/06(日)(五十嵐太郎)