2021年12月01日号
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artscapeレビュー

藤田嗣治渡仏100周年記念「レオナール・フジタとパリ1913-1931」

2013年11月15日号

会期:2013/10/25~2013/12/01

美術館「えき」KYOTO[京都府]

先日Bunkamuraで「レオナール・フジタ展」が開かれたばかりだが、これはまったく別企画。Bunkamuraではポーラ美術館のコレクションを中心に戦後作品が大半を占めていたのに対し、こちらは戦前のパリ時代に絞り、とくに「乳白色」で人気画家になる以前の初期作品が数多く見られた。藤田が芸術の中心地パリでいかに試行錯誤しながら自己のスタイルを確立し、スターの地位を獲得していくかがうかがえて興味深い。初期のころはアンリ・ルソー、エジプト壁画、モディリアーニなどに加え、やまと絵や浮世絵など日本の伝統美術の要素も採り入れ、「乳白色」に昇華させていった過程が見られる。日本人が欧米で成功するには、必ず日本の伝統的美学を盛り込んでおかなければならないことを知っていたのだ。出品作品のなかでもっとも目を引いたのは、《…風に》と題する26点の水彩画。1枚1枚「ルノワール風に」「マティス風に」「ユトリロ風に」と題されてるように、それぞれの画家の色彩とタッチで画風を描き分けているのだ。この器用さと確たる(核たる)中心のなさこそ藤田を、というより日本の画家を特徴づけるものではないか。やっぱり鵺だ。

2013/10/26(土)(村田真)

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