artscapeレビュー

あいちトリエンナーレ2013 最終日

2013年11月15日号

[愛知県]

最終日、岡崎の各会場をまわってスタッフらに声がけを行なう。松本町では旧料亭の小花を見学する。今回は使われなかったが、魅力的な建築であり、まだまだこんなにポテンシャルを持っているのだということを知る。松應寺にて、松本町の人たちと、今後のまちづくりの話を行なう。ここも長者町と同様、トリエンナーレを契機に新しい活気が生まれそう。
名古屋にて、七ツ寺共同スタジオの渡辺英司展「名称の庭」を見る。図鑑を切り抜いて床いっぱいにつくられた紙の花畑。その後、名古屋市美術館、行列ができていた長者町エリアや納屋橋、中央広小路ビル、愛知芸術文化センター、すべての会場をまわる。終了時、10階であいちトリエンナーレの事務局、キュレーター、スタッフらが並び、御礼と拍手で最後の客を送り出す。
第二回のあいちトリエンナーレ2013は、最新アートのショーケースでいいとされる芸術祭にはめずらしく、強いテーマ性を掲げ、単に1回目の繰り返しにするのではなく、楽しい、美しいだけではない、アートの異なる側面を多くの人に知ってもらう機会となった。数字を気にしすぎない方がよいと言ったが、入場者数が激減することがなかったことは重要だと思う。もし激減していれば、もうテーマ性はやるなという話になる。が、いま、日本で向き合うべきテーマがあるときに、それを避けては、社会や時代の変化とともに進化・成長してきた現代美術の状況も伝わらない。1回目は始めることが重要だが、2回目は変わることができることを示せる。3回目は観客として楽しみたい。

写真:上から、旧料亭「小花」、松應寺、渡辺英司展「名称の庭」

2013/10/27(日)(五十嵐太郎)

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