2021年12月01日号
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artscapeレビュー

横須賀功光/エドヴァ・セール「Shafts & Forms」

2013年11月15日号

会期:2013/09/21~2013/11/22

EMON PHOTO GALLERY[東京都]

EMON PHOTO GALLERYでは、2003年に亡くなった横須賀功光が遺した作品を定期的に発表している。今回は1964年の日本写真批評家協会新人賞の受賞記念展で最初に発表され、広告写真家としての彼のイメージを刷新した「射」(Shafts)シリーズから12点(ほかに「光学異性体」「光銀事件」から1点ずつ)が展示されていた。
注目すべきなのは、横須賀の写真とともにフランスの女性彫刻家、エドヴァ・セールのブロンズ彫刻作品が展示されているということだ。有機的なフォルムの物体が連なって形をとっていくセールの彫刻作品は、「射」の写真群ととてもうまく釣り合っているように感じた。金属製のオブジェを撮影した「射」は、横須賀の写真のなかでも最も抽象度の高い、見方によっては彫刻的と言える作品だからだ。
ただし横須賀がこのシリーズでもくろんでいるのは、オブジェそのものよりも、その周囲に広がる反射光の偶発的なヴァイブレーションを、銀塩のフィルムに定着することであり、一見彫刻のように見えるオブジェは、その「光銀事件」を引き起こすための装置にほかならない。その意味ではセールの「純粋彫刻」とはまったく質が異なる作品と言える。だが、逆に違ったタイプの作品が併置されていることで、活気あふれる展示空間が成立していたと思う。今回のような異種格闘技の展示は、横須賀の写真に限らず、これから先もっと積極的に企画されてよいのではないだろうか。

2013/10/09(水)(飯沢耕太郎)

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