artscapeレビュー
第45回 日展
2013年11月15日号
会期:2013/11/01~2013/12/08
国立新美術館[東京都]
書(篆刻部門)の不正審査疑惑に揺れる日展のプレス内覧会に初めて出席した。といっても午後から授業があったため記者説明会には出られず、内覧会のみ。記者説明会は紛糾しただろうか。とりあえず会場をひとめぐりしてみたが、ずいぶん閑散としてるなあ。もう少し騒然とした空気を期待してたんだけどね。作品は相変わらず、ほんと十年一日のごとく変わらない。洋画の中山忠彦は着せ替え人形のごとく毎年服を替えただけの奥さんを何十年も描いているし(しかもほとんど年をとらない!)、藤森兼明も金のイコンを背景にした女性像を毎年出している。ほかにも塗師祥一郎は雪景色、守屋潤吉は敦煌の壁画、工藤和男は地中海の漁港、金山桂子はガラス器の静物画の専門画家だ。ここまで主題もスタイルも固定してしまえばもう安泰。なにしろ進歩・発展は日展の敵だからな。ところで『日展アートガイド』の書のページには、驚いたことに読売新聞編集委員で長く美術記者を務めた菅原教夫氏が巻頭文を書ているではないか。その書のスキャンダルを朝日新聞がすっぱ抜いたんだから、菅原さんも形なしだな。
2013/10/31(木)(村田真)