2020年03月15日号
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artscapeレビュー

プレビュー:KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭2016 SPRING

2016年02月15日号

会期:2016/03/05~2016/03/27

ロームシアター京都、京都芸術センター、京都芸術劇場 春秋座、京都府立府民ホール“アルティ”、京都国立近代美術館ほか[京都府]

6回目を迎える「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭」。今回は、2016年1月にリニューアルオープンしたロームシアター京都をメイン会場に迎えるため、例年通りの秋ではなく、春に開催される。
公式プログラム計11演目は4つの軸に沿って構成。(1)「現代舞台芸術の源流を辿る試み」では、舞踏集団・大駱駝艦の近作『ムシノホシ』や、維新派の松本雄吉が演出する新作が予定されている。また、トリシャ・ブラウン・ダンスカンパニーの初期作品群のオムニバス上演が、京都国立近代美術館で行なわれる。これら1960~70年代の実験精神の延長線上として、トリシャ・ブラウンやマース・カニングハムなど、先行世代を意識して制作している振付家・ダンサーのボリス・シャルマッツ/ミュゼ・ドゥ・ラ・ダンスによる『喰う』の上演が位置づけられている。
(2)「作家たちの共同作業による新作群」では、東日本大震災と原発事故を題材にしたエルフリーデ・イェリネクの戯曲『光のない。』で高い評価を受けた、地点と三輪眞弘が再びタッグを組み、イェリネクの『スポーツ劇』の上演に挑む。また、チェルフィッチュは、現代美術作家・久門剛史との共同作業による新作『部屋に流れる時間の旅』の上演を予定。また、ボイスパフォーマー・作曲家の足立智美は、舞台音楽を子どもたちと制作するワークショップを行なうとともに、contact Gonzoとの初顔合わせを試みる。異ジャンルのアーティスト同士のコラボレーションによる、刺激的な相互作用に期待したい。
また、KYOTO EXPERIMENTは、フェスティバルの役割のひとつとして国際的な共同製作やネットワークづくりを掲げており、特に、日本で紹介される機会の少ない南米諸国の現代演劇やダンスを継続的に紹介してきた。(3)「継続的な国際交流プロジェクト」では、チリ演劇界のホープ、マヌエラ・インファンテ率いるテアトロ・デ・チレの『動物園』が上演される。「人間の展示」という主題を通して、西欧の植民地化や軍事独裁政権といったチリの複雑な歴史、異文化の混淆や衝突、観客の眼差しのあり方への鋭い批評となるのではないか。また、シンガポール出身のチョイ・カファイは、アジア諸国のダンサーや振付家へのインタビューを通して、伝統舞踊とコンテンポラリー、現代社会とダンサー個人の身体性といった様々な問題のリサーチを行なう。さらに、フランスのダンサー・振付家のダヴィデ・ヴォンパクは、「カニバリズム」という人間の極限的な行為を切り口にしたダンス作品を上演する。
(4)「デザインと建築の視点によるリサーチプロジェクト」では、デザインと建築の領域で活躍するUMA/design farm と dot architectsが京都の街のインフラを再編集して提示するリサーチプロジェクト、「researchlight」が展開される。
以上の公式プログラムに加えて、外部キュレーター2名の視点から日本の新進作家を紹介するショーケース「Forecast」も予定。劇作家・演出家のあごうさとしが「劇場における身体のあり方」という視点から選んだ3組(岩渕貞太×八木良太、辻本佳、あごうさとし)と、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館学芸員の国枝かつらが選出した音と映像を扱う3名(小金沢健人、田村友一郎、梅田哲也)の作品が上演される。さらに、フェスティバル開催期間中に京都で発表される作品を一挙に紹介するフリンジ企画「オープンエントリー作品」では、45作品が登録されている。3月の週末は、舞台鑑賞漬けになりそうだ。

公式サイト:http://kyoto-ex.jp/

2016/01/31(日)(高嶋慈)

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