2020年04月01日号
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artscapeレビュー

奥山由之「BACON ICE CREAM」

2016年02月15日号

会期:2016/01/22~2016/02/07

パルコミュージアム[東京都]

奥山由之は1991年東京生まれ。2011年の第34回写真新世紀で優秀賞を受賞し、広告、ファッションの分野で最も若い世代の写真家の一人として注目を集めつつある。今回のパルコミュージアムでの個展「BACON ICE CREAM」は、本格的なデビュー写真展であり、展覧会にあわせて同名の写真集(PARCO出版)も刊行された。
「この世界の色、かたち、光ぜんぶ。」を、軽やかに採集し、まき散らしていく写真群にはまったく迷いがなく、ポジティブなエネルギーが溢れ出ている。途中に冷蔵庫の扉を設置して、そこから次のパートに進んでいく会場インスタレーションや、写真のプリントを何枚か重ねあわせてクリップ止めした展示のアイディアなども、なかなか気が利いている。彼が業界で重宝がられる理由もよくわかる気がした。
ただ、写真そのものにはどこか既視感がつきまとう。あえて銀塩カラー写真の柔らかみのある手触り感を強調していることもあって、デジタル世代の割にはノスタルジックな雰囲気が漂っている。ストップモーションで被写体を止める手法や、ハレーションの表現が、どこかHIROMIXを思わせるところがあると思ったら、なんとHIROMIX本人が写真新世紀で優秀賞に選んでいた。1990年代にHIROMIXや蜷川実花が打ち出していった、現実世界との親和性、幸福感を基調とする写真表現が、意外なかたちでより若い世代に受け継がれているということだろうか。才能の輝きは疑い得ないので、次はさらなる大胆なチャレンジを期待したいものだ。

2016/01/26(火)(飯沢耕太郎)

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