2020年07月01日号
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artscapeレビュー

はじまり、美の饗宴展──すばらしき大原美術館コレクション

2016年02月15日号

会期:2016/01/20~2016/04/04

国立新美術館[東京都]

倉敷にある大原美術館のコレクション展。展示室に入ると、いきなり場違いな古代エジプトやオリエントの美術品が並んでいて面食らうが、昔のコレクターは啓蒙的だったのか、美術史どおり古代から律儀に集めたようだ。次の部屋にはエル・グレコの《受胎告知》が掲げられ、奥にはモロー《雅歌》、モネ《睡蓮》、ゴーギャン《かぐわしき大地》、セガンティーニ《アルプスの真昼》など近代絵画の名品がごっそり並んでいる。ここで疑問その1。大原美術館は休館中というわけでもなさそうなのに、こんな大量に目玉作品を貸し出して大丈夫だろうか。わざわざ倉敷までエル・グレコや印象派絵画を見に行った人はがっかりするんじゃないか、と余計な心配をしてしまう。疑問その2。まだ展覧会の3分の1も来てないのにもう有名作品が出尽くしてしまって、後が続くんだろうか。この疑問はすぐに解けた。大原美術館は西洋名画のコレクションが有名だけど、数からいえば日本の近代・現代美術や工芸品が圧倒的に多いのだ。日本の近代では同館コレクションの基礎を築いた児島虎次郎の《和服を着たベルギーの少女》をはじめ、岸田劉生、関根正二、藤田嗣治、安井曾太郎、棟方志功らの代表作がズラリ。最後の部屋は「VOCA展」の授賞作品や滞在制作事業「ARKO」で収集した辰野登恵子、福田美蘭、やなぎみわ、町田久美ら(なぜか女性作家が多い)のペインティングを中心とする作品に占められている。こうしてみると、日本の美術館としては老舗といわれながらもまだ設立100年足らず、今後ますます現代美術の比重が増し、美術館の方向性も少しずつ転換していかざるをえないだろう。

2016/01/19(火)(村田真)

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