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フェルメールとレンブラント:17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち展

2016年02月15日号

会期:2016/01/14~2016/03/31

森アーツセンターギャラリー[東京都]

フェルメールとレンブラントを中心とする17世紀オランダ絵画展。展示は風景画、建築画、海洋画、静物画、風俗画などジャンル別のオーソドックスな構成で、最後のほうにフェルメールの《水差しを持つ女》とレンブラントの《ベローナ》が登場する。このふたりの作品はこの2点だけだが、こうして順を追って見ていくと、このふたりが同時代の画家のなかでもいかに卓越していたかがよくわかる。とりわけフェルメールは時代すら超越する異次元の奇跡のようなものだ、といえば大げさか。ところでこの展覧会、京都市美術館で立ち上がったのはいいけれど、東京はなんでマンガ展ばっかりやってるような会場でやるんだろう。曲がりなりにもオールドマスターズなのに。しかもこの後、東日本大震災復興事業として福島に巡回するというから変わってる。変わってるといえばカタログも少し変わってる。同展は世界中の美術館や個人から借り集めた作品で成り立っているが、目玉のフェルメールとレンブラントはどちらもメトロポリタン美術館所蔵。変わってるのは、カタログの最初の論文が、同展実現に尽力したメトロポリタン美術館のオランダ・フランドル美術専門の学芸員、ウォルター・リートケの追悼文に当てられていることだ(彼は1年前の2015年2月3日、ニューヨークの地下鉄事故で死去)。本来なら彼の論文が最初に載るはずだったのに、それが不可能になったので追悼文を掲載したのかもしれないが、異例のことだ。しかもその追悼文を書いてるのが、彼のライバルともいうべきワシントン・ナショナルギャラリー学芸員で、フェルメール研究でも知られるアーサー・ウィーロックなのだ。もうひとつ、カタログには「ロンドン・ナショナル・ギャラリー略史とそのオランダ絵画コレクション」なる論文が載ってるが、ナショナル・ギャラリーからは目玉でもない3点の作品しか出されていない。なんかチグハグな印象を受ける。

2016/01/13(水)(村田真)

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