2020年04月01日号
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artscapeレビュー

プレビュー:PATinKyoto 第2回京都版画トリエンナーレ2016

2016年02月15日号

会期:2016/03/06~2016/04/01

京都市美術館[京都府]

「版画トリエンナーレ」と冠されているが、出品作家のラインナップを見ると、写真、映像、染織を手がける作家も参加している点が興味深い。つまり、銅版画や木版、シルクスクリーンといった技法・ジャンルとしての「版画」の枠組みにとどまることなく、複製、反復やトレース、情報を複製するデジタルデータと「版」の関係性など、「版(画)」の概念の拡張が試みられているといえる。また、狭義の「版画」メディアにおいて制作する作家においても、例えば、インクの色を変えて100層以上もシルクスクリーンの版を刷り重ねることで、極小の突起に覆われた画面が角度により玉虫色に変化する小野耕石の作品や、白く不透明な蝋の上にシルクスクリーンを施した後に熱を加えることで、溶けた蝋の上でインクが流動化し、波打つように崩壊したイメージをつくり出す金光男など、支持体とインク、イメージと物質、二次元と三次元の往還といった問題への言及が見られる。さまざまなメディアを用いた「版(画)」の概念の拡張と、「版画」の可能性を探究する実験性が交差する機会になるのではないか。また、20名のコミッショナーがそれぞれ1名ずつ作家を推薦する方式が採用され、若手~中堅作家を積極的に取り挙げている点にも期待がふくらむ。

2016/01/31(日)(高嶋慈)

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