artscapeレビュー
《モナドノックビル》ほか
2016年02月15日号
[アメリカ、シカゴ]
竣工:1893年
激しい風と雨と雹が吹きすさぶなかで街歩きを敢行する。こうした天候だからこそ、シカゴの建築には、厳しさを和らげる軒下を歩ける場所が多いことに気づき、空間的な工夫のありがたさを実感する。ミースの《連邦政府センター》は、複数の建築群がもたらす都市空間が見事なアンサンブルになっているが、さらに広場に設置されたカルダーの赤いパブリック・アートが絶妙のバランスで参加している。これは成功例と言えるだろう。《連邦政府センター》に隣接して、RC造なのにミースと調和させようと色まで合わせた90年代建築もあるが、これは微妙だった。シカゴの街では、赤ミースほか、ミースもどきをいっぱい目撃できる。バーナムの《モナドノックビル》は、技術の発展期ゆえに、南北で構造が違う。ここの一階に入っているお店が年季を帯び、しかもこだわりのあるものばかりで感心させられる。
写真:上から、カルダーのパブリックアート《フラミンゴ》、ミース《連邦政府センター》、ミース《郵便局》、バーナム《モナドック・ビル》
2015/12/28(月)(五十嵐太郎)