2020年04月01日号
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artscapeレビュー

森山大道写真展

2016年02月15日号

会期:2016/01/23~2016/02/20

東京芸術劇場5階ギャラリー1[東京都]

AMでの「DAIDO IN COLOR」展の余韻がまだ冷めないうちに、東京・池袋の東京芸術劇場5階ギャラリー1で「森山大道写真展」が始まった。2月6日~6月5日にはパリのカルティエ現代美術財団で、近作による「DAIDO TOKYO 」展が開催予定で、このところの森山の展示活動には加速がついてきたようだ。
本展は「光と影」、「網目の世界」、「通過者の視線」の3部構成で、それぞれ特徴がある三つのシリーズを組み合わせて森山の作品世界を再構築している。1982年の写真集『光と影』(冬樹社)の掲載作30点を並べた「光と影」は、オーソドックスな回顧展の趣だが、「網目の世界」のパートでは初期の「ニューヨーク」や「アクシデント」などのシリーズからピックアップした作品18点を、シルクスクリーンで大きく引き伸してプリントし、壁紙状に反覆された目のイメージの上に重ねて展示している。「通過者の視線」のパートは2009~2015年に池袋や新宿の路上で撮影された新作をインクジェット・プリントで出力して、グリッド状に構成しており、森山のカラー写真の表現の、現時点での到達点を見ることができた。
以前の森山は、どちらかというと写真集の刊行を目標、あるいは区切りとして作品を発表していたのだが、このような展示を見ると、その意識が展覧会のほうにややシフトしてきているように思える。会場のレイアウトにあわせて、写真の数や並べ方を自在にコントロールすることで、観客を巻き込んでいくようなヴィヴィッドな展示空間を実現している。ただ、これだけ展覧会が続くと、作品を前にして新鮮な衝撃を感じるのはむずかしくなってくるだろう。写真集と写真展を両輪としつつ、新たな発表の形式を模索していく時期に来ているのかもしれない。

2016/01/25(月)(飯沢耕太郎)

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