artscapeレビュー
イリノイ工科大学
2016年02月15日号
[アメリカ、シカゴ]
三度目のイリノイ工科大学へ。今回は冬休みのために、ミースの建築群、OMAのキャンパスセンター、SOMやヘルムート・ヤーンらによる各施設は軒並み閉鎖していた。ミース最初のアメリカ建築となる研究施設(1943)は、戦時下にI形鋼を使用している。一方、日本は鉄を使う建築の現場を中止しており、これでは戦争に負けるわけだ。均質なデザインの建物が何の施設かわからないというチャールズ・ジェンクスの嫌みを思い出しながら、キャンパスをまわる。メンテナンスがされているからだろうが、特に建築学部棟は60年前に建てられたとは思えないほど、格別に美しい。周囲を映し込むリフレクションも印象的である。ところで、雪景色のキャンパスにシーガルの屋外彫刻があって、遠くから眺めると、ベンチに座る真白な人間は凍死かと思った。
写真:左=上から、ヤーン「イリノイ工科大学」、イリノイ州センター、チャペル、ミース《建築学部棟》 右=イリノイ州センター、ミース《研究施設》、レム・コールハース《マコーミック・トリビューン・キャンパス・センター》、シーガル
2015/12/29(火)(五十嵐太郎)