2020年04月01日号
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artscapeレビュー

プレビュー:マレビトの会『長崎を上演する』

2016年02月15日号

会期:2016/03/26~2016/03/27

愛知県芸術劇場 小ホール[愛知県]

マレビトの会は、「ヒロシマ─ナガサキ」シリーズ(2009-2010年:『声紋都市──父への手紙』、『PARK CITY』、『HIROSHIMA─HAPCHEON:二つの都市をめぐる展覧会』)、『マレビト・ライブ N市民──緑下家の物語』(2011)、『アンティゴネーへの旅の記録とその上演』(2012)といった近年の一連の作品において、集団制作を重視しながら、出演者自身の経験の「報告」、俳優の身体を展示するという「展覧会形式」での上演、現実の街中での上演、東京から福島へ移動を続けながらの上演、さらにはその旅の記録や上演告知をSNSなどネット上のメディアを介して発信するなど、実験的な試みを続けてきた。そこでは、都市という空間の生成、俳優の身体性、言葉の帰属、「出来事」の再現/共有不可能性、被爆地への眼差し、可視的なイメージの生成への抵抗、といったさまざまな問題が演劇的原理への問い直しとともに思考されてきた。
そして2013年からは、新たな長期的な演劇プロジェクトに取り組んでいる。長崎という都市のテーマに複数の作者が取り組み、現地取材、戯曲執筆、舞台上演を複数年にまたがって継続して行なうというプロジェクトである。2015年8月には、国内各地に住む7名の作者が執筆した戯曲20本(上演時間約7時間)が総集編として3日間にわたり上演された。今回の愛知公演では、これらから選んだいくつかの戯曲に、ドイツからの新たな参加者が長崎取材を経て書き下ろした戯曲を加え、2日間にわけて上演が行なわれる。複数の眼差しの視差の中に、さらに異化するような視点を加えることで、どのような手触りをもった都市の相貌が立ち現われるだろうか。

2016/01/31(日)(高嶋慈)

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