artscapeレビュー
The Horizon
2009年11月15日号
会期:2009/10/10~2009/10/18
ASPHODEL 1F-3F(京都市東山区八坂新地末吉町99-10)[京都府]
京都大学高松伸研究室による展覧会で、2002年から開かれ今回で6回目。場所は梅林克氏設計のASPHODELというギャラリー内。卒業設計日本一展に出展された作品を中心に、学部生の作品が並ぶ。鉛筆による精密なドローイングにはじまり、一回生から四回生までの建築を学ぶ軌跡も見えてくる。ジャン・ヌーヴェル張りの濃密な黒の図面空間は、日本の建築メディアで一種の主流とされているだろう「白い建築」とは一線を画する。学生がつけたという「The Horizon」という今年のタイトルが気になった。梅林氏、研究室の学生らとの対話の場で(今回、「建築の地平」というテーマで、展覧会をめぐり建築系ラジオの公開収録討議が開かれた)、学生側からは「根源」を目指すのだというコンセプトが聞けたし、それは何か論理の不可能性を示す地点=「神」なるものを建築に降臨させることのようにも解釈できた。あるいは、梅林氏の言うように「密教の行」的な方法論ではじめてたどり着く地点なのかもしれない。いずれにせよ、それらは建築をつくるための「論理を超えた」方法論を示唆しているように思われ、興味深かった。
展覧会URL:http://www.archi.kyoto-u.ac.jp/~takamatsu-lab/exhibition/horizon/index.html
2009/10/11(日)(松田達)