artscapeレビュー
笹倉洋平 展「ツタフ」
2009年11月15日号
会期:2009/10/27~2009/11/08
neutron kyoto[京都府]
笹倉洋平の新作展。笹倉の作品は採光や照明、展示空間の特徴などによって印象がまったく違ってくるため、展示がたいへん難しいと思われるが、今展でも時の経過や変化の絶えない自然の事象を連想させる圧倒的な線の力を見せていた。縦横無尽に黒い線が画面を駆け巡る、一見極めて自由奔放なイメージの表現だが、至近距離で見ると、不気味なほど神経質で繊細な描写がうかがえるのが面白い。止まることなく脈々と体内をめぐる血管のようでもあり、キラキラと水面が輝く海の光景のようでもあり、いずれにしろ触れられない脆弱さと圧倒的な力強さが混在する。京都に続き、東京でも新作展を開催。次はどのような空間になるのかとても気になる。
2009/10/31(土)(酒井千穂)