2021年08月01日号
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artscapeレビュー

Calling 木藤純子 展

2009年11月15日号

会期:2009/09/19~2009/10/18

みのかも文化の森 美濃加茂市民ミュージアム[岐阜県]

木藤純子の個展。半年以上の期間をかけて現地へ通い滞在制作した作品を発表。白熱電球がぼんやりと灯る薄暗い展示室では、展示台の片隅でふわりと木の葉が舞い上がるインスタレーションや、円柱の中に入ると葉が舞い散る光景のような光の残像が浮かび上がる大型の作品、エントランスホールにはグラスの底に青空が見える小さな作品が隠れていた。まずどこに作品があるのか探さなければならないのだが、その存在だけでなく、密やかな変化があちこちにちりばめられた会場は、雑木林で鳥の鳴き声に耳をすましたり、生きものの気配を感じるときのような、気づく喜びをもたらすものだった。晩には特別にミュージアムのシンボルであるタワーに森の映像が投影され、敷地内の「まゆの家」で地域の伝統的な月見のしつらいとともに作品が展示された。グイっと気持ちを持っていかれたのは、訪れた人々が仲秋の名月を楽しむ「まゆの家」の庭の隅に月見草が植えられていたこと。鑑賞者それぞれがいろいろな風景を見つける観月会、今展のどれよりも彼女らしい作品に思えた。見に行けてよかった。

2009/10/03(土)(酒井千穂)

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