2021年12月01日号
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artscapeレビュー

MEGAHOUSE 都市を使い切るために by ABE hitoshi+MOTOE masashige/motion graphics by wowlab

2009年11月15日号

会期:2009/09/30~2009/10/11

京都造形芸術大学 GALLERY RAKU[京都府]

“「MEGAHOUSE(メガハウス)」は、新たな都市生活のあり方を提案するプロジェクト”と書かれた本展フライヤーのテキストも、「都市を使い切るために」というそのタイトルも、まるで新聞に挟まっている広告チラシ。見事なまでに空々しい響きだ。それだけにどんな展覧会なのか気になり、足を運んだ。本展は、すでに実用化されているテクノロジーを発展させた、MEGAHOUSEというシステムモデルのプレゼンテーションという内容で、会場はプロジェクターを用いたアニメーションのパノラマ展示で構成されていた。来場者がスクリーンに映るカタログから好きな商品(空間)サービスを選択し、MEGAHOUSEユーザーとしてその消費システムを実際にシュミレーション体験することで、このプロジェクトの詳細を把握できるようになっている。都市に散在する空室を「MEGAHOUSE社」が借り上げて集中管理。登録したユーザーは、好みの空間をネットワーク上の選択肢から選び予約し、自由に使用する。MEGAHOUSE社にはユーザーのデータが蓄積される、という流れ。都市自体をプライベートな住居空間の拡張としてとらえたものだが、仕組みはつまり「アマゾン」と同じなので、特に新鮮な感覚はない。ただ、会場には実際に来場者がシュミレーションしたデータが残されていて、これまでに選ばれた人気ナンバーワンの空間や、多くの人にチェックされた空間サンプルなどもすぐに見ることができる。自分の好みを用意された選択肢から探すわれわれの生活とその管理消費システムを、いかにもお洒落な雰囲気で見せていたこの展覧会はすべてが皮肉の再現だった。最初のイメージは見事に裏切られ愉快だった。

2009/10/08(木)(酒井千穂)

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