artscapeレビュー

過去に存在した(美術教育の)未来──木水育男の児童画教育の例

2009年11月15日号

会期:2009/10/28~2009/11/08

京都造形芸術大学 GALLERY RAKU[京都府]

木水育男という方を私は知らなかったが「我が家の玄関に子どもの絵を」と提唱し続けた教育者で、展覧会は、その50年余り前の美術教育と児童画の例を展示するという内容。海辺の地域の人々の仕事の様子、学校生活、針仕事をする母親など、日常の一コマを観察しながら描いた子どもの作品は、どれも丁寧に描き込まれていてじつに生々しい。こんなにも嬉しさや切なさなどの感情が画面ににじみ出るものなのかと思い知らされる味わいがあり引込まれていくものが多かった。急に風が冷たくなった日に見たせいもあるだろうが、冷たい指先が温まっていくような感覚を覚えて打たれる展覧会だった。

2009/10/31(土)(酒井千穂)

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