2021年08月01日号
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artscapeレビュー

吉左衞門X インドネシアン・プリミティブアート 稲葉京セレクション

2009年11月15日号

会期:2009/09/19~2010/03/14

佐川美術館[滋賀県]

ガムランとインドネシアの影絵、ワヤン・クリの公演に合わせて訪れたのだが、同日のワークショップで参加者が制作した操り人形も飛び入り参加したこのライブが想像以上に素晴らしかった。一度だけのイベントだったが、ぜひもう一度とリクエストしたいくらい。ただ本展のメインは樂吉左衞門館の展示。「樂吉左衞門作品と樂氏が関わる何らかの事象Xとの関係式を解き明かす展覧会」と記されていたが、今後この企画はシリーズとして継続展開する。今展では、世界的なプリミティブアートのコレクターである稲葉京氏のセレクトによりバリ島から運ばれてきた資料と、樂氏愛蔵の彫刻像、今展に合わせて制作された茶碗と茶入などを合わせて展示。展示室は「昼の航海」「夜の航海」「破の守」「破の破」など、ストーリーをともなったテーマで構成されている。会場はとても暗いのだが、地下空間にわずかに射し込む外光が古木の彫刻などをいっそう妖しげに見せ、聖と俗、虚と実、闇と光、生と死のあわいを彷徨うような、境界的世界の雰囲気が見事に出現していた。とてもユニークなのは月に二度夕刻に開催される「ガムラン茶会」。会場はなんとこの展示室。この茶会には、本展のために制作された樂作品が使われる。インドネシアの民族衣装を身に纏ったスタッフによる茶道具の解説も、空間もさることながら、優美なガムランのライブ演奏がなんといっても贅沢。このイベントに参加しないなんてもったいなさすぎる。

2009/10/17(土)(酒井千穂)

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