artscapeレビュー

水都大阪2009

2009年11月15日号

会期:2009/08/22~2009/10/12

大阪市一帯[大阪府]

世界的にも珍しいロの字型の水の回廊が大阪に存在すること、大阪が水の都であることをシンボライズする2カ月にわたる大規模なイベント。プロデューサーは北川フラムと橋爪伸也、総合アドバイザーは安藤忠雄。この2カ月間、水辺に関連する膨大なプログラムが行なわれた。筆者は最終日だけを見学したが、中之島周辺では、その盛り上がりのクライマックスを迎えていた。水や河川という視点から都市を見直したときに、従来認識していた都市構造が劇的に変化するという体験は極めて興味深い。実際、川口遊里図屏風などを見ると、都市が河川上にまで連続的に広がっていた様子がよく分かる。東京も江戸時代は、らせん上に掘割が切られ、豊かな河川・運河空間を持っていたが、現在そのことはあまり知られていない。この水都大阪のイベントは、過去により豊かな河川空間を持っていた他の都市にとっても、都市再生のモデルの一つとなりうるのではないだろうか。筆者は大阪に立ち寄ることがそれほど多くないのだが、今回ですっかり水のイメージが大阪に焼き付いた。

2009/10/12(月)(松田達)

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