artscapeレビュー

クリムト、シーレウィーン世紀末展

2009年11月15日号

会期:2009/10/24~2009/12/23

サントリーミュージアム[天保山][大阪府]

19世紀末、アカデミズムへの決別を目指した「ウィーン分離派」、クリムト、エゴン・シーレなどを中心に、コロ・モーザーやマックス・オッペンハイマー、オスカー・ココシュカなど、ウィーン・ミュージアムのコレクション120点を紹介。最大の見どころとなるのはクリムトの《パラス・アテナ》だろうが、個人的に今展でもっとも見応えがあったのはシーレの肖像画。デッサンのタッチや繰り返しなぞられたそれらの筆跡から画家が深く関わった人物への眼差しや感情がうかがえる。華やかな印象の内容ではないが、この時代のウイーンの作家達の人間的な魅力が浮かび上がってくるような作品が並んでいて、できるだけじっくりと味わいたい展覧会だと思う。

2009/10/27(火)(酒井千穂)

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