2021年08月01日号
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artscapeレビュー

コープ・ヒンメルブラウ 回帰する未来

2009年11月15日号

会期:2009/09/19~2009/12/23

NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)[東京都]

コープ・ヒンメルブラウは、ヴォルフ・プリックスを中心人物として1968年に設立されたオーストリアの建築設計事務所。《アストロバルーン 1969 リヴィジテッド──フィードバック・スペース》と《ブレイン・シティ・ラボ》という二つの作品を展示。前者は、皮膜を装着することで心拍を光や音に変換する1969年の《ハート・スペース──アストロバルーン》の発展形で、2008年のヴェネツィア・ビエンナーレに出展されたもの。装着することで身体が拡張するという意味では、同じオーストリアの建築家・彫刻家であるワルター・ピッヒラーの透視ヘルメット(《TV-Helmet (Portable living room)》、1967年)のコンセプトと似ているし、彼らが知らなかったはずがない。しかしピッヒラーが彫刻的に拡張現実を表現したことに対し、コープ・ヒンメルブラウは、光や音といった形なき形態として表現する。バルーンも、形はあるが、透明である。後者は、パリ郊外の都市計画プロジェクトから発展し、神経科学と都市計画の接点を見つけようとするもの。観客の位置に従って、都市模型に光の道が生まれては消えていく。コープ・ヒンメルブラウの建築が、形態的な特徴をもつことと対照的に、本展示では形にならない、光や音や軌跡といったものが表現されている。しかし、むしろこの展示から彼らの建築形態の目指す本質が見えてきたような気がした。ヒンメルブラウはドイツ語で「青い空」を意味し、彼らは雲のような変幻自在な建築を目指すのだという。過去にザハ・ハディドらとともにデコンの建築家として扱われたことから、形態へのこだわりを感じていたのであるが、むしろ形態なき形態こそが彼らの建築の本質にあるのだろう。

展覧会URL:http://www.ntticc.or.jp/Exhibition/2009/CoopHimmelblau/index_j.html

2009/10/18(日)(松田達)

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