artscapeレビュー
『建築以前、建築以後 Before Architecture, After Architecture』
2009年12月15日号
発行所:アクセス・パブリッシング
発行日:2009年11月25日
2009年の夏、小山登美夫ギャラリーで開催された建築展「建築以前・建築以後」のカタログ。同展では、鈴木布美子のキュレーションにより、菊竹清訓、伊東豊雄、妹島和世、西沢立衛の4人のプロジェクトの模型、ドローイング、そして写真(ウォルター・ニーマイヤーやホンマタカシが撮影)を展示したが、それらの作品と会場写真が収録されている。彼らは師弟関係にあり、いわば、戦後日本建築のアヴァンギャルドの直系をたどる内容だ。鈴木による出品作家へのインタビューがあるほか、巻末に寄稿された保坂健二朗のテキスト「なぜ建築はコレクションされるべきなのか」が興味深い。もともと、この展覧会が開催されたのも建築資料の問題を契機としていたが、保坂はまず欧米をレビューし、日本のお寒い状況に触れながら、建築もコレクションすることでミュージアムも変容する可能性を論じている。
2009/11/30(月)(五十嵐太郎)