2021年10月15日号
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artscapeレビュー

大谷幸夫+大谷研究室+国建《沖縄コンベンションセンター》

2009年12月15日号

[沖縄県]

竣工:1987年

大谷幸夫による設計。丹下健三研究室にて多くの丹下プロジェクトに関わることからスタートした大谷の作品のなかで、《沖縄コンベンションセンター》はやや異質な雰囲気を帯びている。実家のすぐそばに大谷による《金沢工業大学》(1969-)が建っており、筆者は何度となく足を運んでいたため、大谷の建築デザインはわりと身に染み付いている。モダニスト的であるが、かならず一部に歴史的意匠であったり、独特の造形言語であったり、「遊び」が入っている。しかし本作品においては、自由な曲線群により構成された屋根、その軒先の装飾、池の上に飛び交うパーゴラ的な曲線装飾をもつ柱、アートオブジェのような空調吹き出し口、強調された天井の造形美など、その造形的な「遊び」が全面展開しているかのようだ。全体的な雰囲気は竜宮城のようにも感じた。筆者は《金沢工業大学》、《国立京都国際会館》(1966-)、《東京大学法学部4号館・文学部3号館》(1987)に続いて4つめの大谷の建築体験であったが、他の作品とは明らかな断絶があるところが興味深い。バブルの影響もあるのだろうが、同時期の《東京大学法学部4号館・文学部3号館》は相当にモデストである。
しかしこれは断絶ではないだろう。ル・コルビュジエが《ロンシャンの礼拝堂》でこれまでの彼のイメージを大きく裏切ったかのように見せて、実際には彼の絵画や彫刻との連続性の方が多かったように、むしろこの《沖縄》は、大谷における《ロンシャン》なのではないだろうか。それぞれの大胆な造形言語の片鱗は、過去のプロジェクトの「遊び」に見いだされる。ここまで自由に建築をつくることのできる爽快さを感じた。

2009/10/26(月)(松田達)

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