artscapeレビュー
『Architecture = durable』
2009年12月15日号
発行所:Picard
発行日:2008年6月
本書は、パリの4区にあるパリ市の都市・建築に関する情報資料展示センター「パヴィヨン・ドゥ・ラルスナル」で開催された「Architecture = durable」展の展覧会カタログである。この展覧会は、2008年にフランス人建築家ジャック・フェリエによる監修で開かれ、30の建築家のイル=ド=フランス圏における30の作品が展示された。パリで、持続可能性(durable)をテーマに取り上げたはじめての本格的な建築展であるといえる。出展作家はフランス人建築家を中心としつつ、大御所から若手まで、またSANAAやOMAなど外国人建築家も加わったバランスのとれた構成であり、この一冊で現在のパリの建築の状況をかなり知ることができるだろう。またアレグザンダー・ツォニスの「三つのエコロジー」など興味深い論考も収録されている。巻末にはフランク・ブッテによるマトリクス的分析や、関連語句の用語辞典も付いている。
なお、パヴィヨン・ドゥ・ラルスナルは、常設展でパリの歴史とパリ市の最新プロジェクトを展示しているほか、年に2~4回程度の企画展を行なっており、ほかにも、資料センター、都市計画閲覧コーナー、併設書店がある、多くの講演会、シンポジウムを開催しているなど、パリで建築・都市の情報を集めるには絶好の場所となっているので、パリにいく建築・都市関係者にはおすすめの場所である。
関連URL:http://www.pavillon-arsenal.com/
2009/11/06(金)(松田達)