artscapeレビュー

萩原雅紀『ダム』2007.2.16/『ダム2(ダムダム)』2008.1.18

2009年12月15日号

発行所:メディアファクトリー

今年の「景観開花。」の土木系アイデア・コンペのテーマが、ダムだったので、ダムの写真集に目を通した。子どもの頃に開眼し、ダム・マニアとして各地を訪れている著者ならではのこだわりが楽しい。イントロダクションで書いているように、ダムは人類がつくりだした建造物で、最大級にデカイ。そして「さまざまな要素で構成される堤体のデザインにはふたつとして同じものがありません」という。なるほど、写真をめくると、多種多様のダムの姿が浮かびあがる。それは時代の変遷もあるだろうが、自然と地形とダイナミックに関わるからこそ、だろう。巻末には用語集もあり、ガイドブック仕立てだ。個人的には、崇高な美も見たいのだが、この本はむしろフィールドワーク的なまなざしが強い。また建築屋としては、写真だけではなく、なぜそうなかったかを考えるために、プランや配置図なども知りたいと思った。

2009/11/30(月)(五十嵐太郎)

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