artscapeレビュー
2012年01月15日号のレビュー/プレビュー
押忍!手芸部と豊嶋秀樹『自画大絶賛(仮)』
会期:2011/11/23~2012/03/20
金沢21世紀美術館[石川県]
タイトルを見ただけではどんな展覧会か想像もつかないが、でも実際に見てみるとタイトルどおりとしかいいようのない展覧会。「押忍!手芸部」は手芸部長の石澤彰一が手芸経験のない「男前部員」7人と結成した部活動で、その成果を豊嶋秀樹が展覧会に組み立てていく。いろいろ遊びもあって楽しいといえば楽しいのかもしれないが、手芸には興味のないおじさんには「こんなもの美術館で見せられてもなあ」だ。
2011/12/28(水)(村田真)
サイレント・エコー──コレクション展II
会期:2011/09/17~2012/04/08
金沢21世紀美術館[石川県]
太平洋側の魚は安心して食べさせられないという子ども思いの妻の提案で、日本海側の魚を求めて(もちろんそれだけの理由だけではないが)金沢へ。2、3日前からの大雪で市内は銀世界、息子は大喜びだがおとーさんのムスコはオフクロとともに縮こまってる。まずは21世紀美術館へ。最初に入った展覧会は、アニッシュ・カプーアやツェ・スーメイに加え、グラフィックデザイナーの粟津潔、具体メンバーの山崎つる子らが出品。なんか脈絡のない人選で方向性の見えない展覧会だなあと思ったら、コレクション展だった。久世建二や角永和夫ら地元作家も着々とコレクションに加えておるな。
2011/12/28(水)(村田真)
ピーター・マクドナルド:訪問者
会期:2011/04/16~2012/03/20
金沢21世紀美術館[石川県]
長期インスタレーションルームと展示室13のふたつのギャラリーを使った長期的プロジェクト。展示室13のほうでは壁4面に描いた壮大な壁画を公開し、無料ゾーンの長期インスタレーションルームでは大小40点ほどのタブローを展示している。市民と交流しながら制作したらしいが、色づかいといい筆づかいといい、いまどきのポップな感覚のなかにもメタ絵画意識がかいま見えて、なかなか見ごたえがある。
2011/12/28(水)(村田真)
モニーク・フリードマン展
会期:2011/11/23~2012/03/20
金沢21世紀美術館[石川県]
同時開催の企画展とはいえ、「押忍!手芸部」とは打って変わってこちらはフランスの女性作家による絵画展。麻布、綿布、紙などさまざまな支持体を使い、70年代のシュポール/シュルファスをちょっと思い出させる。あえて手芸部との共通点を探せば、どちらも繊維を用いてることかな。織物=ウェブは視覚芸術の基礎だ。コジツケですが。
2011/12/28(水)(村田真)
五十嵐研ゼミ合宿 1日目:隈研吾《太田市金山地域交流センター》、小嶋一浩《OTA HOUSE MUSEUM》ほか
[群馬県]
年末恒例の五十嵐研ゼミ合宿を行なう。今年は主に群馬県のエリアをまわり、住宅の見学が多かった。初日は、隈研吾の《太田市金山地域交流センター》、小嶋一浩の《OTA HOUSE MUSEUM》、磯崎新の《群馬県立近代美術館》、隈の《高崎駐車場》、レーモンドの《群馬県立音楽センター》を訪れ、映画『千と千尋の神隠し』のモデルとされる、温泉の《積善館》で宿泊した。《OTA HOUSE MUSEUM》は、2人のアーティスト夫妻のプライベート・ギャラリー、アトリエ、居住スペースから構成される。フロアごとのまったく異なる空間が展開し、それを本棚に囲まれた階段室が垂直に突き刺す。スペース・ブロックのコンセプトがとてもよく表現された建築である。いったん、2階の屋外に出てからアプローチする寝室は、《住吉の長屋》を思わせる大胆な構成だ。翌日、《ぐんま国際アカデミー》前で通行人としゃべっていても、《OTA HOUSE MUSEUM》の存在を知っていて、遠くからの視認性も効いている。
写真:上から、隈研吾《太田市金山地域交流センター》、小嶋一浩《OTA HOUSE MUSEUM》、《積善館》
2011/12/28(水)(五十嵐太郎)