2021年09月15日号
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artscapeレビュー

2013年12月15日号のレビュー/プレビュー

何翔宇「信仰錯誤」

会期:2013/10/04~2013/11/09

SCAI ザ・バスハウス[東京都]

北京を拠点とする何翔宇(ヘ・シャンユ)の日本で初の個展。正面の壁には背丈ほどの高さのピンク色のドアが設置され、把手が電球になっている。アイ・ウェイウェイもそうだが、北京のアーティストはデュシャンの影響が強いようだ。ガラスケースのなかには1メートルほどのシリコン製のセルフ彫刻が横たわり、赤い布がかけられている。これはロン・ミュエクそっくり。壁掛けの五つのビデオモニターは画面が真っ暗なので故障中かと思ったら、宙を舞うホコリを撮った映像だった。これはつまらないけどおもしろい。いや、おもしろいくらいにつまらない。

2013/11/08(金)(村田真)

所蔵作品展「秋」・「日本の山」

会期:2013/11/07~2013/11/28

日展新会館[東京都]

バスハウスのすぐ近くに見慣れぬ白い建物が建っている。「日展新会館」と書いてあり、展覧会をやってるので入ってみる。昔だったら意地でも入らなかっただろうなあ。1階が「秋」、2階が「日本の山」を描いた日本画と洋画が計20点ほど並ぶ。なんの刺激もない、毒にも薬にもならない絵ばかり。どうせなら「原発」とか「憲法」とか「秘密保護」とか、国民に関心のある時事ネタをテーマにしてほしい。

2013/11/08(金)(村田真)

鴎外と画家 原田直次郎──文学と美術の交響

会期:2013/09/13~2013/11/24

文京区立森鴎外記念館[東京都]

上野から千駄木まで歩き、昨年リニューアルオープンした鴎外記念館を初めて訪れる。安藤忠雄を思わせるモダンな建築だが、外壁はレンガを張ってから削った職人仕事だという。原田直次郎は鴎外が留学先のミュンヘンで知り合い、親友になった画家。ふたりの交流を示す書簡や鴎外の小説の挿絵などを中心とする展示で、絵画は素描や水彩を含めて6点のみ。代表作の《靴屋の親爺》や、鴎外が擁護した《騎龍観音》などは画像で紹介されている。絵画の現物が少ないのは文学者の記念館だから仕方がないけど、でも書簡とか本とか見せられてもなあ。

2013/11/08(金)(村田真)

假象の創造──カショウノソウゾウ

会期:2013/10/23~2013/11/24

文京区立森鴎外記念館[東京都]

倉林靖のディレクションで、赤崎みまと袴田京太朗が出品する現代美術展。なんで鴎外記念館で現代美術展なのかといえば、「鴎外の美術への関心を現在に結びつける試み」だそうだ。エントランス正面の壁に長さ2、3メートルほどある恐竜の化石のような異形の物体が飾られているが、これは数体のクマの木彫をスライスしてつなげた袴田の作品。知らない人が見たら驚くだろう。これを「鴎外が、自ら吸収した西洋思想によって日本文化を再構築しようとした姿勢が、まさにそのまま表されている」などとこじつけることもないだろうに。まあ公的施設だから現代美術を見せるにもなにかしら納得できる理由づけが必要なのかも。でもこういう場所だからこそ理由なき唐突な出会いがあってもいい。

2013/11/08(金)(村田真)

フェスティバル/トーキョー13「四谷雑談集」

会期:2013/11/09~2013/11/24

[東京都]

フェスティバル/トーキョー13がスタートした。中野成樹と長島確による「四谷雑談集」に参加した。四谷怪談の元ネタに関する「TALK」、実際に四谷を歩く「WALK」、屋敷跡にたどりつき「PARK」で解散するというプログラムである。お岩さんという強力な物語装置を契機に、想像力を駆使し、東京の街が江戸にタイムスリップしていく。一種のクリエイティブ・ツーリズムのようでもあり、坂道が多いエリアなので、ブラタモリ+東京スリバチ学会のようでもあるが、失踪したお岩の恨みから、30年にわたり、関係者が十数人も亡くなった300年以上前の物語を想いながら歩くのは、不思議な体験だった。やや曇った天気も、雰囲気を盛り上げる。今年のコンセプト「物語を旅する」そのものである。

2013/11/09(土)(五十嵐太郎)

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