artscapeレビュー

2015年03月15日号のレビュー/プレビュー

第2回 3.11映画祭 藤井光×五十嵐太郎トークショー「ASAHIZA 人間は、どこへ行く」

会期:2015/02/28

アーツ千代田 3331[東京都]

アーツ千代田3331にて、映画「ASAHIZA」の監督の藤井光とトークを行なう。実は3.11映画祭で上映する作品とは思えないほど、直接的な被災の話やシーンは少ない。が、現在、日本全国で起きている疲弊していく地域の話であり、映画という20世紀の共有知を使うことで、3.11に関する特殊な映画に限定されず、射程が広くなり、普遍性をもっている。それにしても、映画館のドアを閉じるところから始まり、画面にこちらを向く観客が映し出されることで、実空間とシンメトリーの構図を生み出し、われわれが映画を見ているのでなく、映画館がこちらを見ているような冒頭だ。

2015/02/28(土)(五十嵐太郎)

《showing》02「加納俊輔 山びこのシーン」

会期:2015/03/03

京都芸術劇場春秋座[京都府]


写真作品から、写真を使った立体作品と展開している加納俊輔が、京都芸術劇場・春秋座の企画で、劇場にて公演作品を発表した。これまでの作品のプロセス(撮影した写真を出力して撮影して、また出力して撮影して……)を、舞台上に展開。角材やプラスチックの日用品などが演者によって動かされ、撮影され、その写真が投影される。キーワードである山びこに倣って、さまざまが対になっている、と。多少機械的な進行と構成に単調さが気になったものの、舞台上に置かれたモノに込められた加納のセンスと、撮影された写真の偶然性が楽しい。写真を舞台の上に持ち込んだ構造をしているが、これは明らかに写真という技法をつかった美術作家としての表現で間違いないのだろうな。アフタートークで「(客席から見えない位置では)僕が撮影していたんですけどね」とさらりと言ってしまうあたりが好印象だったりする。

2015/03/03(火)(松永大地)

プレビュー:縄文と現代vol.3「浸透する器」

会期:2015/04/16~2015/05/16

京都造形芸術大学芸術館[京都府]


京都造形芸術大学所蔵の縄文土器とシルクロードの工芸品、豊原国周の浮世絵が収蔵された博物館・芸術館にて、不定期で開催している縄文土器と現代美術のコラボレーション・シリーズ「縄文と現代」の第3弾。今回は、現代美術家・大西康明による展覧会が開催される。大西の持ち味である、視覚化された空間が圧倒的な存在を見せつける彫刻作品は、縄文土器の持つ悠久の時間と如何に交わり、立ち上がってくるのか、とても興味深い。
※チラシはデータにて。

2015/03/04(水)(松永大地)

プレビュー:越中正人展「algorithm」

会期:2015/03/21~2015/04/29

CAP STUDIO Y3[兵庫県]


群衆や花を撮影した写真や映像作品などを用いて、集合や個について、見落としてしまいがちな事象を表現してきた越中正人。今回、自身が神戸市の復興支援住宅でのボランティア活動を行ったことで起きた疑問などから着想を得た作品を発表する。アクチュアルな事象からどのように写真・映像作品に昇華させるのか注目したい。

2015/03/04(水)(松永大地)

カタログ&ブックス│2015年03月

展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。

現代日本写真アーカイブ 震災以後の写真表現2011-2013

著者:飯沢耕太郎
発行:青弓社
発行日:2015年3月15日
価格:5,000円(税別)
サイズ:A5判、498ページ

「写真は東日本大震災をどう引き受け、いま何ができるのか――美術館から画廊、小さなアトリエまで、足で回って写真作品を実際に鑑賞し、それを紹介・批評した450を超える「震災後の写真」の記録3年分を所収する。現代日本写真を知るための「読む写真事典」。」 [出版社サイトより] 初出は当サイトの「artscapeレビュー」欄。


後美術論

著者:椹木野衣
デザイン:吉岡秀典(セプテンバーカウボーイ)
発行:美術出版社
発行日:2015年3月25日
価格:4,800円(税別)
サイズ:193×133×36mm、632頁

『美術手帖』2010年11月号から連載されている美術評論家・椹木野衣による評論『後美術論』のうち、14回分を収めている。後美術(ごびじゅつ)とは、美術や音楽といった既成のジャンルの破壊を行なうことで、ジャンルが産み落とされる前の起源の混沌から、新しい芸術の批評を探り当てる試み。

PARASOPHIA:京都国際現代芸術祭2015

監修:河本信治
編集:池澤茉莉、川角礼子、多胡真佐子、永田絵里、宮田有香
デザイン:西岡勉
発行:京都国際現代芸術祭組織委員会
発行日:2015年3月6日
サイズ:220×191×32mm、352頁

京都で初めてとなる大規模な現代芸術の国際展PARASOPHIAのカタログ。4種類のカバーデザイン、350ページにおよぶ作られたカタログには膨大なテキストが収められているが、そのほとんどは既出のテキストで、いわば作家とキュレトリアルチームの共同作業から生まれたアンソロジー。展示会場の順序とは異なる構成で、本というメディアを使った展示が試みられている。


キュレーションの現在 アートが「世界」を問い直す

著者:椹木野衣、五十嵐太郎、蔵野美香、黒瀬陽平、新藤淳、松井茂、成相肇、星野太、土屋誠一ほか
発行:フィルムアート社
発行日:2015年2月26日
価格:1,700円(税別)
サイズ:四六判、232頁

さまざまな領域で使われるようになり、広く知られるようになった「キュレーション」という言葉。アートの世界でも学芸員に限らず、インディペンデント(独立系)のキュレーター、アーティストや批評家によるキュレーション、国際展や地域のアートプロジェクトの活発化、ゲスト・キュレーター制の浸透といった状況の変化により、方法も担う役割も多様化してきました。本書はゼーマン以後のキュレーションの歴史から始まり、まさに「いま」最前線を走っている方々の、生の声を収録した一冊となっています。本書に集められた言葉は、キュレーションの「いま」を表すだけでなく、必然的にその未来の行方を指し示すものとなるでしょう。[出版社サイトより]


展覧会のグラフィックデザイン

編集:青山竜也(フレア)
カバーデザイン:伊藤力丸
本文デザイン:木村祐子(フレア)、古川真理
発行:グラフィック社
発行日:2015年2月25日
価格:2,200円(税別) サイズ:B5判、160頁

ポスター、チラシなど展覧会の宣伝物には個性的なデザインや凝った印刷加工が多く、デザインの現場で参考になる要素が詰まっています。100 点超の事例からデザインの工夫を解説します。[出版社サイトより]


なnD 3

編集:森田真規、戸塚泰雄、小林英治
デザイン:戸塚泰雄
発行:nu
発行日:2015年2月25日
サイズ:B6判変形、152頁

雑誌「なんとなく、クリティック」「nu」「DU」の編集人3人による「なnD 3」の3号目。この冊子は、普段はそれぞれの仕事をしている3人が、「なnD」欲が湧き上がってきたときに1週間くらいで集中して作られている。これは、雑誌とも書籍ともZINEとも異なるナニモノかを発明しようとする密かな実験の場でもある。

2015/03/12(木)(artscape編集部)

2015年03月15日号の
artscapeレビュー