2020年02月01日号
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artscapeレビュー

プーシキン美術館展 フランス絵画300年

2013年08月15日号

会期:2013/07/06~2013/09/16

横浜美術館[神奈川県]

2年前に予定されていながら、東日本大震災(原発事故)のため延期とされていたプーシキン美術館展。さすがロシア、原発事故の怖さをよく知っていたようだ。展示は旧約聖書を題材としたニコラ・プッサンの古典的な歴史画に始まり、クロード・ロランの理想的風景画、シャルル・ル・ブランの《モリエールの肖像》、ギリシャ建築とピラミッドを隣り合わせに描いたユベール・ロベールの廃墟画、楽器と性愛を結びつけたルイ・レオポルド・ボワイーの恋愛画など、古典主義やロココの佳作が続く。とりわけブーシェのエロっぽい《ユピテルとカリスト》など、つい最近完成しましたみたいに色彩がみずみずしいので不思議に思ったら、画面にガラスを入れてないのだ。ところが、印象派をはじめとする19世紀以降の作品の多くにはガラスが入っていて、それ以前の作品より原色が多いはずなのにみずみずしさに欠けるように感じた。ガラス越しと生で見るのとこれほど見映えが違うとは驚き。ともあれ、19世紀以降も見どころは少なくない。印象派とほぼ同世代のルイジ・ロワールはイラストレーターとして知られていたらしいが、初耳。雨上がりの風景をとらえた巧みな表現はカイユボットに匹敵する。セザンヌの《パイプをくわえた男》はフォルムもプロポーションも常識破りだし、ゴッホの《医師レーの肖像》はアールブリュットの先駆ともいうべき色づかいだ。なるほど、彼らが20世紀絵画を先導したというのもうなずける。最後のほうにあったキスリングの《少女の顔》は、額縁が破損しているのでいかにもロシアらしいと思ったが、カタログを見るとこの作品、画家から寄贈される際に美術館が支払ったのは額縁代だけだったそうだ。その記念としてそのまま残してあるのかも。

2013/07/05(金)(村田真)

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