artscapeレビュー

UN:KNOWNS──アート×クリティシズム2013

2013年08月15日号

会期:2013/07/08~2013/07/20

ギャラリー零∞+ギャラリー現[東京都]

昨年に続き、東京造形大学の近藤昌美ゼミと慶応義塾大学の近藤幸夫ゼミがコラボした、ダブル近藤ゼミ展の2回目。昌美の学生が絵を展示し、幸夫の学生が各作品について批評を書いている。ちなみに昌美は男です。作品は具象もあれば抽象もありバラエティに富んでいて悪くないが、飛び抜けていいというものはない。どこか既視感があり、良くも悪くもはみ出したヤツがいない。これはもちろん彼らだけでなく近年の特徴で、ポストモダンの時代特性ともいえるのだが、むしろ突出することを避ける現代日本の学生気質によるところが大きいような気もする。それは批評のほうにさらに顕著で、文章はどれも手際よくまとめられてスラスラ読めるが、それだけに引っかかるものがなく、読み終えた後でほとんどなにも残らないのだ。彼らは造形大のアトリエに行き、作品を見、作者の話を聞いて書いてるのに、そのときの感動や生々しさがあまり伝わってこない。こぎれいに整えられた文章より、無骨でも熱のこもった文章や独自の視点を打ち出した批評が読みたい。

2013/07/16(火)(村田真)

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