artscapeレビュー
ゼロ・アワー──東京ローズ最後のテープ
2013年08月15日号
会期:2013/07/12~2013/07/15
KATT 神奈川芸術劇場 大スタジオ[神奈川県]
KAATにて、やなぎみわの「ゼロ・アワー」を観劇した。彼女の研究熱心を反映したプロットは、音をめぐる批評的作品になっている。メディア・オリエンタリズムのポストモダン的な展開は、同じく日本/女性とアメリカ/男性をめぐって、アイデンティティが揺らぐテーマをもつ「蝶々夫人」が「M. バタフライ」に変容したことと似ていよう。それを可能にしたフォルマント兄弟の音声デザインがすごい。また場面の展開とともに、リング状だった机がどんどん変形する、トラフ建築設計事務所の装置デザインも鮮やかだった。
2013/07/14(日)(五十嵐太郎)