artscapeレビュー

yang02「untitled2」

2013年08月15日号

会期:2013/07/20~2013/10/20

中村キース・ヘリング美術館[東京都]

家族で小淵沢へ一泊旅行。ついでにキース・ヘリング美術館に寄ってみる。ここは2年前にも来たが、小規模とはいえ観光客相手のチャラい美術館とは違って、何人かいる学芸員がちゃんと企画を立てて展示活動を行っている希有な美術館だ。今回は「キュレーターズ・セレクション」の第6回としてyang02をピックアップ。長い通路の壁に張られたキャンバス布にエアゾルによるグラフィティが書かれている。ビデオを見ると、スプレー缶を左右からワイヤーで吊り、モーターで上下左右に動かしながらペイントしていく様子が映し出されている。“自動グラフィティ装置”を使って書いているのだ。たしかにグラフィティの線というのは人間離れしたストロークを理想とするので、機械にやらせたほうがいいという考え方もある。でもグラフィティライターは「人間離れしたストローク」を実現させたいから自分でやってるのであって、それを機械にやられちゃあ筋違いと考える人もいる。そのことを確認するためにも、言い換えれば「人はなぜグラフィティするのか」を再認識するためにも、この装置は有用なのかもしれない。

2013/07/21(日)(村田真)

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