2020年07月15日号
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artscapeレビュー

ルーヴル美術館展──地中海 四千年のものがたり

2013年08月15日号

会期:2013/07/20~2013/09/23

東京都美術館[東京都]

ルーヴル美術館の厖大なコレクションのなかから「地中海」をテーマに作品を選び、展覧会を組み立てたもの。地中海といえば古代エジプトやギリシャ・ローマ文明を育んだ地であり、また、ユダヤ教やキリスト教の発祥の地でもあり、ついでにいえば、ヨーロッパの語源であるエウロペ神話が生まれた地でもあり、つまりはヨーロッパの母体となった海なのだ。だが、地図を見れば明らかなように、地中海の文明・文化の中心となった地域は、現在の西洋文明の中心地より南東に位置している。このさらに東からイスラム勢力が押し寄せて北西部に追いやられたのが現在の「ヨーロッパ」というわけだ。そうして見ると、ここに展示されている古代の文物から近世のオリエンタリズム絵画まで、すべてが地中海への憧憬の念に貫かれているように感じられるのだ。ミロのヴィーナスもサモトラケのニケもないけど、西洋人の地中海に寄せる思いが伝わってくる展覧会。

2013/07/19(金)(村田真)

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